Instagram DMの「自動返信」でできること・できないこと

最初に押さえておきたいのは、Instagramの「自動返信」はメールの自動応答のように何でも自由に設定できるわけではない、という点です。現在の主な機能は、大きく次の2種類に分かれます。

  • 返信を「速くする」機能:よく使う文面を登録しておき、人が返信するときに呼び出す(完全な自動ではない)
  • 返信を「自動で送る」機能:決まった条件(最初のメッセージ、特定の質問など)に対して、あらかじめ設定した文面が自動で送られる

また、これらの機能の多くはプロアカウント(ビジネスアカウントまたはクリエイターアカウント)向けに提供されています。個人アカウントのままでは使えない機能もあるため、まずはアカウントの種類を確認しておきましょう。

機能名や設定場所は変わることがあります

Instagramやメタ社のツールは、機能の名称・設定画面の場所・利用条件がアップデートで変わることがあります。この記事では執筆時点の一般的な内容を紹介しています。実際に設定する際は、アプリ内の表示や公式ヘルプセンターで最新の情報をご確認ください。

自動返信・返信効率化に使える4つの機能【比較表】

DMの返信を自動化・効率化する手段を、自動化の度合いと用途で比較すると次のとおりです。

機能自動化の度合い主な用途気をつけたい点
保存済みの返信低(人が呼び出して送信)定番の回答を素早く入力アカウントごとに登録が必要
よくある質問(FAQ)中(相手が質問を選ぶ)営業時間・購入方法などの案内設定できる質問の数に上限がある
Meta Business Suiteの自動返信中〜高(条件で自動送信)最初のメッセージへの受付返信、不在時の案内Facebookページとの接続が前提
公式API連携の外部ツールツール次第複数アカウントの一括管理、条件に応じた返信APIの利用条件(返信できる期間など)に従う

機能の有無や仕様は、アカウントの種類・地域・時期によって異なる場合があります。

保存済みの返信

よく使う返信文を登録しておき、DMの入力欄から呼び出して使う機能です。登録した文面に短いショートカット(キーワード)を設定でき、入力欄にショートカットを打つと文面を挿入できます。

送信するのはあくまで人なので、文面を少し調整してから送れるのが利点です。完全な自動化に抵抗があるアカウントでも導入しやすく、タレントアカウントの返信効率化の第一歩としておすすめです。

よくある質問(FAQ)

プロアカウントでは、DMの画面に「よくある質問」を表示できます。相手が会話を始めるときに質問の候補が表示され、選択された質問に対してあらかじめ登録した回答を返す、という仕組みです。

「グッズはどこで買えますか?」「お仕事の依頼はどこから?」のように、答えが決まっている質問を、相手自身に選んでもらう使い方に向いています。設定できる質問数には上限があるため、問い合わせが特に多い項目に絞って登録しましょう。

Meta Business Suiteの自動返信

InstagramのプロアカウントをFacebookページと接続していれば、Meta Business Suiteの受信箱から自動返信を設定できます。代表的なのは、初めてメッセージを送ってきた相手への受付メッセージや、対応時間外に届いたメッセージへの不在時メッセージです。設定内容によっては、特定のキーワードを含むメッセージに決まった返信を送ることもできます。

ただし、条件に合えば内容に関係なく送られるため、ファンからの温かいメッセージに事務的な受付文が返ってしまう、ということも起こりえます。後述する落とし穴を踏まえて文面を設計しましょう。

公式APIと連携する外部ツール

Metaが公開しているInstagramのメッセージ用APIと連携する外部ツールを使えば、複数アカウントのDMをまとめて扱ったり、条件に応じた返信を行ったりできます。ツールによって機能は大きく異なりますが、いずれもAPIの利用条件の範囲内で動作します。たとえば、相手から最後にメッセージを受け取ってから一定期間を過ぎると返信できない、といった制約があります。詳しくは複数アカウントのDM一元管理の記事の注意点でも触れています。

自動返信メッセージの書き方と文例

自動で送られるメッセージは、相手が「人が読んでくれた返事」と誤解しないように書くのが基本です。次の4つの要素を意識すると、誠実で分かりやすい文面になります。

  1. 自動送信であることが分かる(「自動でお送りしています」など)
  2. 受け取ったことを伝える
  3. 相手の次の行動を示す(公式サイト、問い合わせフォームなど)
  4. 守れない約束をしない(「必ず返信します」「〇時間以内に」などは避ける)
受付最初のメッセージへの自動返信

メッセージありがとうございます。こちらは自動でお送りしているメッセージです。 いただいた内容は、運営スタッフが順次確認しております。 お仕事のご相談は、プロフィールに記載の公式窓口からご連絡いただけますとスムーズです。

時間外対応時間外の不在時メッセージ

メッセージありがとうございます(自動返信)。 ただいま対応時間外のため、内容の確認は次の営業日以降となります。 最新のお知らせは、投稿・ストーリーズをご覧ください。

FAQ回答「よくある質問」への回答文

ご質問ありがとうございます。 イベント・出演情報は、プロフィールのリンク先にある公式サイトで随時更新しています。 日程や詳細はそちらをご確認ください。

自動返信の文面は、一度設定すると見直されないまま使われ続けがちです。イベントやキャンペーンの終了後に古い案内が送られ続けないよう、定期的に文面を見直す担当者と時期を決めておきましょう。

自動化の範囲は、運用に合わせて AIがテンプレを推薦し、送信するかは担当者が決める。

タレントDMマネージャーは、AIがDMを内容で仕分けて返信テンプレを推薦。よくある質問への自動応答も、設定した範囲内でのみ行います。

よくある質問を見る

タレントアカウントは「自動化レベル」を決めてから

企業の公式アカウントなら、問い合わせへの自動返信は便利な機能です。一方、タレントやインフルエンサーのアカウントでは、ファンは「本人(またはその周り)が読んでくれる」ことに価値を感じています。そのため、何でも自動化するのではなく、どのDMまで自動にするかを先に決めることが重要です。

Lv.0すべて手動1件ずつ読んで、手入力で返信
Lv.1定型文を呼び出す保存済みの返信などで入力を省く。送信は人
Lv.2候補を機械が出す内容に合う返信候補が提示され、人が確認して送信
Lv.3決まった質問だけ自動FAQなど、答えが決まっているものに限り自動送信
Lv.4すべて自動送信内容を問わず、機械が文章を作って送信
図:DM返信の自動化レベル。タレントアカウントではLv.2〜3が現実的な落としどころ

おすすめは、答えが決まっている質問だけを自動化し(Lv.3)、それ以外は返信候補を参考に人が判断して送る(Lv.2)という組み合わせです。ファンの感想や応援メッセージ、仕事の相談、デリケートな内容のDMは、人の目を通してから返すことで、ファンとの信頼関係やトラブル防止につながります。

自動化レベルは、タレント本人とも相談して決めましょう。「この種類のDMには事務所から定型文で返してよい」「このDMは本人に見せてほしい」といった線引きを共有しておくと、運用中の迷いがなくなります。

自動返信で気をつけたい4つの落とし穴

1. 文脈に合わない返信が送られる

条件に合えば自動で送られる仕組みでは、深刻な相談やクレームにも明るい定型文が届いてしまうことがあります。自動返信の文面は、どんな内容のDMに対して送られても失礼にならない、中立的な表現にしておきましょう。

2. 本人が返信したと誤解される

タレント名義のアカウントから、本人の口調をまねた自動返信を送ると、ファンが「本人からの返事」と受け取る可能性があります。後から自動だと分かると、かえって信頼を損ねかねません。文例のように、自動送信であることを明記するのが誠実です。

3. 自動返信が「やり取りのきっかけ」として扱われる

自動返信は、あくまで相手から届いたメッセージへの応答です。自動化ツールを使って、やり取りのない相手にこちらから一斉にメッセージを届ける目的で使うと、各SNSのルールに反する迷惑行為と判断され、機能やアカウントに制限がかかる可能性があります。

4. 自動返信で「対応済み」と思い込む

受付メッセージが自動で送られると、担当者まで「返信済み」と錯覚しがちです。自動返信はあくまで一次対応と考え、人による確認が必要なDMが残っていないかを別途チェックする運用にしましょう。チームでの対応状況の管理方法は、事務所のDM対応を効率化する方法で紹介しています。

AIを使うなら「推薦は機械、送信は人」

最近は、AIがDMの内容を読み取って返信を手伝うツールも登場しています。AIの得意分野は、大量のDMを内容ごとに分類したり、似た内容をまとめたり、登録済みの文面から合いそうなものを選んだりすることです。

一方で、タレント名義のアカウントでAIがゼロから文章を作り、そのまま自動送信する運用には慎重になるべきです。誤った情報を伝えてしまう、本人の意図しない発言になってしまう、といったリスクがあるためです。

たとえばタレントDMマネージャーは、AIが届いたDMを「ファンレター」「仕事依頼」「お問い合わせ」などに仕分けて返信テンプレを推薦し、送信するかどうかは事務所の担当者が判断する設計です。よくある質問への自動応答を設定した場合のみ、設定した範囲内で一次返信が行われ、どこまで自動化するかは運用に合わせて調整できます。前述の自動化レベルでいえば、Lv.2を基本に、必要な部分だけLv.3を取り入れる考え方です。

まとめ

この記事のポイント
  • InstagramのDM自動化は「返信を速くする機能」と「自動で送る機能」に分かれ、多くはプロアカウント向け
  • 主な手段は、保存済みの返信/よくある質問/Meta Business Suiteの自動返信/公式API連携ツールの4つ
  • 自動返信の文面は「自動であることを明記」「受領を伝える」「次の行動を示す」「約束しすぎない」が基本
  • タレントアカウントは、自動化レベルを決めてから導入。決まった質問だけ自動、それ以外は人が確認して送るのが現実的
  • 自動返信を一斉送信の手段にしない。自動返信後も人の確認が必要なDMを残さない

自動返信は、うまく使えば担当者の負担を大きく減らせる一方で、使い方を誤るとファンとの距離を広げてしまう道具でもあります。「何を自動にし、何を人が返すか」を先に決めることが、自動化を成功させるいちばんの近道です。